社会教育主事とは
社会教育法第９条３
「社会教育主事は、社会教育を行う者に専門的技術的な助言と指導を与える。」
（わかり易くいうと、色々な分野には専門家がいます。スポーツ選手、税理士、建築士、教員など、 社会教育主事は社会教育の専門家です）
社会教育主事の設置
社会教育法第９条２
「都道府県及び市町村の教育委員会の事務局には、社会教育主事を置く。」
（社会教育主事は法的根拠がある公務員です。事務局（本庁）だけでなく実際は公民館、生涯学
習施設、 青少年施設等の出先機関にも置く自治体が多いです）
社会教育主事の仕事
社会教育法第５条
「市（特別区を含む。以下同じ。）町村の教育委員会は社会教育に関し、当該地方の必要に応じ、予算の
範囲内に おいて、次の事務を行う。」
一 社会教育に必要な援助を行うこと。
二 社会教育委員の委嘱に関すること
三 公民館の設置及び管理に関すること。
四 所管に属する図書館、博物館、青年の家その他社会教育に関する施設の設置及び管理に関するこ
と。
五 所管に属する学校の行う社会教育のための講座の開設及びその奨励に関すること。
六 講座の開設及び討論会、講習会、講演会、展示会その他の集会の開催並びにこれらの奨励に関す
ること。
七 家庭教育に関する学習の機会を提供するための講座の開設及び集会の開催並びにこれらの奨励に
関すること。
八 職業教育及び産業に関する科学技術指導のための集会の開催及びその奨励に関すること。
九 生活の科学化の指導のための集会の開催及びその奨励に関すること。
十 運動会、競技会その他体育指導のための集会の開催及びその奨励に関すること。
十一 音楽、演劇、美術その他芸術の発表会等の開催及びその奨励に関すること。
十二 青少年に対しボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の機会を
提供する事業の実施及びその奨励に関すること
. 十三 一般公衆に対する社会教育資料の刊行配布に関すること。
十四 視聴覚教育、体育及びレクリエーションに必要な設備、器材及び資料の提供に関すること。
十五 情報の交換及び調査研究に関すること。
十六 その他第三条第一項の任務を達成するために必要な事務
........
.... ..(これらは、社会教育部署の仕事ですが、社会教育主事も実際はこれらの仕事をしています。その中核
...........をなすのが総じて講座事業等の企画立案です。これにも関連して、社会調査法、講座･事業の評価
分析法及び広報、講座事業及び団体の運営技術があり、また、レクリエーション及び自然関係活
動の知識も求められます。最近ではNPOに関連してマーケティングやマネジメント、生涯学習に関連
して成人教育学（アンドラゴジー）という知識も必要です）
社会教育主事の歴史
大正時代の１９１８年（大正７年）、臨時教育会議で「通俗教育二関スル答申」が出され、文部省と地方自治体に通俗教育に関する主任官がおかれることになった。翌年の１９１９年（大正８年）、文部省に通俗教育主任官が設置され、１９２０年（大正９年）に各県に社会教育主事が置かれた。この頃、文部省の普通学務局内に社会教育の所管する第四課が新設され、１９２３年に社会教育課と名称が変った。
戦後、１９４９年（昭和２２年）の社会教育法制定時には明文化されなかったが、１９５１年（昭和２６年）の法改正で社会教育主事が明文化され、教育公務員特例法にも専門的職員と明記された。また、１９５０年（昭和２５年）に第１回の社会教育主事講習が行われている。
１９５９年（昭和３４年）に、社会教育の必要性から都道府県同様に市の社会教育主事が任意設置から必置になり、併せて、大学卒業者や教員免許状取得者以外の者も社会教育主事講習により資格取得が可能となった。１９８４年（昭和５９年）から社会教育主事補が必置から任意設置になった。
２００１年（平成１３年）、社会教育主事資格のための実務経験が社会教育に関係のある業務であって文部科学大臣が指定するもの（社会教育事業における企画立案及び指導等。例えば、ボーイスカウト・ガールスカウトのリーダーや青年海外協力隊の隊員等の行う業務）にも認められる法改正があった。
２００３年（平成１５年）現在、派遣を含む約５５００人の社会教育主事が任命されている。
社会教育主事の現状
社会教育主事資格取得の方法は社会教育法第９条の４及び社会教育主事講習等規程に明記され、大きく分けて二つに分かれます。ひとつは大学で所定の２４単位取得するか社会教育主事講習で９単位取得する方法です。
社会教育主事講習は制度的に経過措置的なものであり、大学での養成が本来の方法です。ただ、社会教育主事講習は社会教育の現場で働いているが資格はないという者に付与するという目的があります。
現在、社会教育主事の多くは教員が任命され、都道府県の場合は一部の例外を除き教員のみである。これは、社会教育主事が校長・教頭・主任等になる前のステップアップのための割当職になっているからです。これにより、社会教育主事を目指す人達の道を阻み、全国的に社会教育が衰退する大きな要因になっています。社会教育の活力のある自治体、例えば、岡山県岡山市、埼玉県鶴ヶ島市、千葉県君津市、大阪府大阪市などに共通しているのは、一般（卒業者含む）や行政職員から有資格者を任用している自治体です。このような問題は現場の社会教育行政職員のみならす、研究者でも以前から指摘されていることです。この問題が解決しないかぎり、社会教育の明日の展望が見えないのが現状です。詳細は以下をご覧ください。
